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まとめて言及したい記事を書く際に、ここを使う予定です。

『トリセツ』を読む人・読まない人の違いって何だろう(※再掲記事)

《この記事は、2015年6月14日に『はてなグループ日記(サービス終了)』に掲載されていたものの再掲です》

なぜ世の中には、説明書を読まない人がいるのか?(※再掲記事) - guldeenのはてブロ

先のエントリは、自分の中でここ三十年ほど抱いてきた疑問を記した、いわば「グチ」でもある。そんな内容にも関わらず、はてなー含めた方々にある程度の関心をお持ち頂き、恐縮である。長文を書くリハビリ練習を兼ね、少しだけこのテーマを掘り下げてみたいと思う。

「ほしい情報を検索」するのは、訓練を要する行為である

 「パソコンやスマホの電源をON→ブラウザを起動・検索サイトを表示→画面の『検索欄』に語句を入力・『検索』ボタンをクリック・タッチする」…。
 三十代以下の人にはとっくにおなじみの操作だが、高齢者にとっては苦痛なものの一つだろう。自分の若い時以降に登場した技術を追いかけるのは気力・体力が要ることだが、その両者が衰えている高齢者には「面倒くさい」もので、自力での検索操作をあきらめる人が少なくない。
 そしてそれが、また「周囲への安易な『質問の嵐』」を呼ぶ要因ともなる。

 とはいえ、誰にでも「初心者な時期」はあったわけで。「自転車に乗りたいなら、転ぶことを怖がるな」の精神で、大きな被害が出ない範囲で『痛い目に遭う』ことで、サーチエンジンでの調べ物はしだいに慣れてくる。
(一覧に出てきたリンク先を、安易に開いたりしない…どちらかと言えば、『ぼったくりバー』を避ける感覚に近いのだろうか?)

 幸いにも、パソコンなどIT機器は人間と違って「同じ操作を何度やっても、怒ったりしない」。上達には、経験あるのみ。

 最近の家電品では、トリセツは「はじめにお読みください/取扱編・機能編」など複数に分けられ、目を通す順番をある程度指定している例が多い。「とりあえず使いたい」、という世間のニーズに応えた結果としては、妥当な措置であろう。「買ったばかりで、使い方そのものがわからない状態」と、「ある程度の使い方には慣れたが、細かい点での設定が難しい状態」とで参考にしたい情報が違うのは、当然なのだから。

「壊れない限界」の見極めと、末永く使うための心がけ

 日常で扱う機器も含めてだが、『化学的・物理的・電子的(アナログ・デジタル)な変化をさせ、想定の目的を達成する』中で(設計側の)想定範囲を超えた使用をすれば、どこかに不具合をきたすのはある意味、当然のこととも云える。

 厄介なのは、近年だとコンピュータを応用した電子機器に多い「中の動作原理はそれまでの技術とは全く違うが、ユーザーインターフェースを駆使することで、今までと同じような操作に“見せかけて”いる(=エミュレーション動作)」商品の場合である。
 この場合、内部の仕組みや動作原理にある程度の理解や節度がある(技術系・理系出身者に多い)利用者は、使い方にも『限界』が存在することを、トリセツを読まずともおのずと把握している。
 一方で、今までと同じ調子で使う利用者の大半は、そういった事情を知らずに過負荷が掛かる使い方を無意識に行ない、結果的に商品の寿命を縮めたり壊したりしてしまう。

 かくして、機器の設計者らは注意をうながす意味で、箇条書きで「してはいけない事・操作が終わったらすべき事」を、トリセツの冒頭にズラズラと並べる羽目となり、それが一般利用者からの「トリセツは面倒だ」というイメージを固定化させかねない悪循環が生じ始めている。

 これを打開するため、一部商品では「操作の際にそのつど、確認音声を発する」仕組みを内蔵するものもあるが、技術的・コスト的な問題もあるためごく一部に留まっている。

使い手側が『デジモノのセオリー』を理解できているか

 id:nullpogattさんは「操作のスキーム」と表現されていらしたが、自分は『「デジモノ」(デジタル家電:おもにコンピュータ制御で動作する家電という意味)のセオリー』と呼んでいる。自らもデジタル家電を利用する設計者が、「この順番で操作してくれ」という想定ルート(操作フローチャート)が機器には含まれていて、それに沿うように使うと、スムーズに動作する。
 だが、実機で運用テストをしてみると、設計者が思いもつかなかった使われ方をされ、結果としてユーザーインターフェースや操作フローの作り直しを迫られる例もある。この運用テストを怠ったまま製品が出荷されると、市場で不評を買うことになるのだろう、と推測する。

 一方で、これまたご指摘のように、ゲームソフトでは初心者向けのチュートリアルが充実しているタイトルが少なくない。
「子供がおもに使うのだから、トリセツを読まなくても遊べる」ようにとのメーカー側の配慮の一環だが、操作と“世界観”の理解をしてもらうこの段階では、ややもすると説明が『くどい』きらいは否めない。
 ただいずれにせよ、学習能力が高い子供たちにとっては『遊びたい』という目的の強さがゆえ「好きこそ物の上手なれ」とばかり、あっという間に操作体系を体得してしまう。
 他方で家電の大半は、大人たちが「日常の家事・業務をこなすため」に『仕方なく』導入するものである以上、性能を発揮しつつ使いやすく、かつ安全面も考えることを設計段階で盛り込む難しさがある。

(余談だが、家電に求められる「使いやすい・安全である・壊れにくい」の3点は、そのまま『ロボット三原則』に置き換えられる。有名な話)

 ほかに『デジモノ』の操作で、慣れていない人がとまどうことの一つに、「2つ同時押し・長押し」などの操作が必要になる例が挙げられる。
 スマホでも、

  • タップ・ダブルタップ・ロングタップ
  • スワイプ/フリック・ピンチイン/ピンチアウト

 などの操作は、慣れれば便利だが「教わらないと思いつかない」操作体系ではある。まぁ何でも、デジモノに関しては「習うより慣れろ」ではあるのだが。

 取り留めも無いが、このへんで:-)