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まとめて言及したい記事を書く際に、ここを使う予定です。

我が家のネット再開通奮闘記

今回は、固定ネット環境の再整備がらみで私が苦労した例を、これからも増えるであろう成年後見制度の利用・あるいは検討をしている家庭向けに、知識の共有目的も兼ねて備忘録代わりに公表してみる。
現在の日本の社会は高齢化が顕著であるが、そんな中で直面したわが家での奮闘の経験が、皆様のご参考になれば幸いである。

ことの発端はといえば、わが母が
「あー、そろそろ私も、タブレットでも使ってみようかな~」
と言い出したことであった。
かつて私の父は、家の電話回線を光ファイバー回線に付け替えたついでに、プロバイダ契約を結んでいた。当初の契約ではサンネットだったが、その後のプロバイダ会社自体の合併などに伴い、最終的には『ぷらら』との契約になっていたようだ。伝聞調で記しているのは、私はその頃にいったん実家を出て、やや離れた和歌山・紀伊田辺で地方部勤務生活をしていたからである。
その後、何やかんやがあって大阪の自宅へ10年ぶりに戻ってみれば、私が家を出る頃にあれだけ侃々諤々とやりあった人とは思えぬほど、父はすっかりボケていた。特に、私の事を息子と認識する事さえおぼつかなくなっていた父の姿には、ただ愕然とするしかなかった。この時点で、家庭内の光熱費をふくめた公共料金の管理は、母がおこなっていた。

ここで、すでに使われていない父名義の携帯電話やネットプロバイダ契約などが家計の負担となるわけだが、私が主導する形で解約を進めていった。それが、2016年の話である。
これと併せ、父はこの時点で有価証券その他、ある程度の資産を保有していた。これら資産の保全・ならびにグループホーム特別養護老人ホーム(以下『特養』と略す)などの高齢者施設へ入居する際の費用を払い込む場面で、父当人の資産を取り崩す必要が生じた場合に、母が代理で手続きを行なうために必須となるであろう『成年後見制度』の利用を検討した。
その当時はまだ右も左も分からぬ状況であり、家庭裁判所に母子そろって相談や申請手続きを行なうなどし、最終的には母が後見人として選出・認定されるに至った。だが一方でこの行動が、のちのちまで影響を及ぼす要因となってくるとは、思ってもみなかったのである。

さて年月は下り、父が特養で完全介護環境のもと日々を送るようになってから、はや2年ほどが経っていた。そこで母がふと、冒頭のように私に話し掛けてきたのである。
もっとも、母がそのような形で私に持ち掛けてくる問題ごとの相談は、大半がややこしくこじれるのを経験的に私は知っていたため、反射的に警戒した。
「ね〜、◎◎ちゃん(※私のこと)。うちって今、インターネットが使えるの?」
「いや、前はお父さんが自分でネット契約して使うとったけど、施設(※特養のこと)に入ったからもう使ってないし、って俺が解約手続きしてたやん」
「へー。でもそうすると、いま電話機の横でピカピカ光ってるアレは、何なん?」
母が指しているのは、NTT光ファイバー回線からの信号を変調するONU(※ルータ機能内蔵・Wi-Fi親機機能付き)のことである。ただ先ほども説明したように、現在では単に『フレッツ光』の電話機能しか使用していない。『ピカピカ光る』とは、モニターLEDが電話としての回線の状況を点滅で知らせているさまの表現だ。
「ああ。あれは、電話局からの回線がちゃんと機能してますよ、ってサインやね」
「ふーん…。それはえぇけど、お母さんの友達にもタブレット持ってる人がおるんよ。あれって字が大きいから、お母さんぐらいの歳の人とか、老眼でも使いやすいみたいね。でもその人ら『Wi-Fiにつなげて使うてる』らしいんやけど、うちでそれ使おうとしたら、どないしたらいい?」
この段階におよぶに至り、うわー面倒な事になったぞ…と、内心では頭を抱えていた私であった。

母も私もウェブを見る手段としては、現時点ではドコモのスマホ(Xi:クロッシィ)しか利用していない。そこへ昨年(2019年)あたりから、遠方に住む親族と母との間での『LINEビデオ通話』が増えてきたのである。
ぶっちゃけて言えば、要は『都会に住む可愛い孫の顔が見たい』用途である。
おそらく、高齢者がスマホを持つ目的の大きな要因として上位に入るであろう理由だが、そうなると悩ましいのが『通信データ量の増大』問題である。
母は現在、ドコモの『ギガライト』を契約しているが、これはデータ従量ステップ課金制の料金プランである。そして(皆様の大半はご存知だろうが)これらビデオ通話形式は、短時間であっても多量のデータのやり取りが発生する。従量制プランだと、利用料金がうなぎ登りになるのだ。ただでさえ家計に余裕のない我が家で、これはマズい。

「ざっくり言うと、手順としたら(1)もう一度ネット契約する(2)タブレットを買ってくる(3)あの機械(※Wi-Fi親機機能つきルータ)と接続する、やね」
我ながら、ずいぶんと荒っぽい説明だとは思ったが、それ以上の解説をしても母が分かるとは思えなかったので、このような物言いになった。
「あーそー。で、そのネット契約って、簡単なん?面倒なん?あとタブレットって、幾らくらいするのん?LINEで東京の△△ちゃんと話すのに、いまのスマホやと画面が狭いんよ」
蛇足だが、△△ちゃんとは母から見た場合の、孫のことである。
タブレットはどうか知らんけど、現在のうちの状況って、たとえば電話回線はお父さんの名義のままで、実際に使うてるのは俺とお母さんで、お金払ってるのはお母さんよね。
 そのまま使ってる分には問題なくても、また新たにネット引くとなると『財産の保全』の観点からは、家庭裁判所に報告して判断してもらうのが、必要になってくる状況なんと違う? 監査人(※)な司法書士さんに報告して、OK貰わんとアカンやろね」
(※注:家庭裁判所は、被後見人(早い話が『認知症』などの人)の財産を適切に保全する必要があると判断した場合、後見人の補佐として『監査人』(一般的に、弁護士や司法書士が着任する)を付ける場合がある。これは、後見人は拒めない)
そう母に私が告げると、意外だと・あるいは不承々々という感じの表情で、
「…で? アタシはどないしたらえぇん? あんたはこういう時、口で言うばっかりで気楽やけど、実際にあちこち動くのはお母さんやねんし、手続きの説明されてもサッパリやで? まぁ司法書士さんには、連絡しとくけど…」
と返され、せっかく善意で手続きを考えていた私も、少なからずゲンナリした。

     * * *

日が改まってから、自分なりに建ててみたプランは3つ。
1)今あるNTT西日本光回線を活かし、『ドコモ光』を契約する。母も私も、使っているスマホのキャリアはドコモなので、なんらかの割引が使えるであろう。
2)今あるNTT西日本光回線を活かし、NTT西のフレッツ光に載せる形で、提携プロバイダを選んで契約する。電話回線の契約名義人を父のままで、新たに「ネットプロバイダの主契約者」を母に立てる。
3)固定電話は触らず、定額モバイルWi-Fi回線類を新たに契約する。1日10分ほどのビデオ通話なら、それほどデータ量も使わないだろうし、少なくとも「ギガライト/ギガホ」で動画通信を行うよりは安くあがるハズ。

     * * *

1)のプランだが、私だけが先走って契約手続きをしても仕方ないので、ハイテク関連がさっぱりな母を急き立てる形で、日頃からよく訪れるドコモショップに相談予約を取った。折りしも世間は『新型コロナ感染対策』のため、ドコモショップでも座席や出勤するスタッフの数などを間引いているそうで、予約の日取りを調整するのに少々難儀した。
そして、予約当日。身分証明書やNTT回線の事情が分かる請求書などをあらかじめ用意し、窓口に母を連れて赴いた。もっとも大半の事は電話番号から割り出せる辺りに、窓口担当者の手際の良さを感じさせたが、ここで問題が発生。
どういうことかというと、『ドコモ光』は基本的に『携帯電話の所有名義人』名でプロバイダ契約を行うので、今回の我が家の例だと母・または私に光回線の名義を変更する必要があるのだという。またこの場合は『転用』といって、光回線の扱い事業者を(この場合なら)NTT西日本からドコモへと変更する必要がある。ただしこの手続きは、ウェブや電話で『転用転出番号』を得るだけで、比較的簡単に済む。
もっとも、今回は『回線名義人の変更』手続きが必須という点で、家裁・監査人の許可が得られそうにないので、残念ながらこのプランはボツとなってしまった。せっかく頑張ってくれた窓口担当のおにーさん、ゴメン。

さて、2)のプラン。NTT西の場合だと 0120-116116へと電話(※平日の9時〜5時)し、『フレッツ光・コラボレーション事業者(=つまり、提携プロバイダ)』の変更・新規契約の手続きとなる。今回は変則というか、まず電話窓口でヒアリング・のちに家裁や監査人のOKが出てから、契約手続きを進める手順を踏んだ。母経由で司法書士さんのOKを電話でいただいたのが夜だったので、日をまたいで2回目の電話をかける。
あらためてNTT西の電話窓口担当者に伝えて、現在の我が家のフレッツ光ひかり電話のプランを確認してもらったのち、提携プロバイダのうちから今回は、料金プランやメールアドレス個数の観点から、私の独断でだが『ビッグローブ』を選ぶ事にした。
この場合、回線名義人と回線事業者は父とNTT西のまま、プロバイダ契約では母が契約主体者となり、司法書士の見解としては今回の例は『被後見人の資産の私物化』には当たらない…であろうとの判断を貰えたので、ひとまずこれで契約手続きが進むことになる。なお、回線事業者はNTT西から動かないので、『転用』手続きほかは不要で済む事となり、気苦労の種も減るのは幸いであった。
またその際、請求される月々の料金の請求形態だが、これもNTT系(NTTファイナンス)に一本化が可能との事だったので、それを選んだ。

そして次の週の火曜日、ビッグローブから早々にA4サイズ封書に入った『サービス開始のお知らせ』(=会員登録済み・サービス開始)書類が来た。私自身は、和歌山Iターン時代にも自力で(合計3回引越したが、その都度)ADSL回線を引いてセッティングするほどのマニアックな人なので、固定回線を引く際のセオリー自体は熟知しているが、これが機械オンチな母だけなら早々にギブアップだっただろう。ちなみにキャンペーン期間という事で、今回の利用契約(2年縛り)者には『タブレットLAVIEが1円で買える』特典が付いていたので、母のためにと応募した。

     * * *

さて、現在の我が家で使用しているONUは、NTT西日本のPR-400NEである。我が家版ではこれに無線LANカードがセットされており、これ一台でLANポートハブ(4個)や無線LAN親局機能を備えている。
https://www.ntt-west.co.jp/kiki/download/flets/pr400ne/
外部回線に繋いだルータに家で行なう事と言えば、パソコンからのプロバイダ接続設定やポート設定・無線親局機能の調整であるが、これで少々手間取った点をメモっておく。
まず、家人が通話中でない事を確認したのち、ONU本体の正面にある『再起動・初期化スイッチ』を押し、本体を再起動させる。
ONUの側面には、無線接続する際のSSIDやパスワードなどが記されたシールが貼り付けてあるので、この内容をメモしておく。起動しておいてあるパソコンからは、Wi-Fi設定ツールから感知し表示されている無線チャンネルのうちから当該SSIDを見つけ、先ほどメモしたパスワードを入力して接続を試みる。
(なお、パソコン本体とONUをLANケーブルで直結した場合は、上記の『†』節部分の手順は省略できる)
この状態でONUとパソコンが通信できる事を確認したら、とりあえず『お約束』のURLである http://192.168.1.1/ をブラウザのURL欄に入力。すると「userとパスワードの入力を求めています」のモーダルウィンドウ表示が浮かぶので、リセットを掛けたあと有効になるIDとパスワード(詳細は上記URLからダウンロードできる説明書を参照)をウィンドウ欄に入力すると、各種設定モード画面に辿り着く。

ただし自分の場合は、今回のLubuntu(※LinuxGUIディストリビューションのうちのUbuntuの、軽量版)18.04-LTSからの設定だったので、メーカーなどであらかじめ用意してある事の多いWindows/MacOS用の設定ツールが使えなかったため、手動での設定を行なった。が、基本的な(ブラウザ上からの)操作や調整は、他のOSでの操作とそう変わらない。

さて、そうこうしているうちに、宅配便でタブレットが到着した。ビッグローブNEC系のプロバイダという事もあり、届いたのはLavieタブレット(8インチ・Android 9.0)である。ただし、紙の説明書に書かれていたのは「してはいけない注意事項」がほとんどで、肝心の「電源を投入してから行う事」に関しては、ウェブサイトを参照する形であった。電源を入れて最初にすべき事は『Googleアカウントの設定(無い場合は新規作成)』とWi-Fi接続設定で、それができたらまずは内蔵ソフトのアップデートをかける。
あとはGoogle Playストアでめぼしいソフトを導入していくのだが、その際にひとつ困ったのが「LINE」であった。すでに母が所有のAndroidスマホのアカウントは、『引き継ぎ』は出来てもタブレットとの『共有』ができない。やむなくここで、紐付け電話番号として「固定電話の番号(この場合、SMS認証が使えないので自動音声返答でのワンタイムパスワードを発行してもらう)」を使い、アカウント作成に成功した。
もちろん、このタブレットにたとえば、データSIM契約などをすれば家庭から持ち出した使い方も可能なわけだが、あくまでこのタブレットの所有権は母にあるので、それ以上の好き勝手な事は出来ないのが、やや勿体無いと思ってしまう私であった。